ディープフェイク動画詐欺で約38億円の被害
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ディープフェイクで38億円詐欺
先週末、「South China Morning Post」が、ちょっと信じがたい事件を報じました。詐欺師は、高度なディープフェイク技術を使った偽のビデオ会議を開催し、香港の会社から約38億円を盗んだのです。
記事によると、詐欺事件は会社幹部の出張中に起きました。香港にある会社の従業員は、イギリスにいるはずの自社のCFOから、秘密の取引を進めるようにとのメールを受け取ります。初めは従業員も耳を疑いましたが、ビデオ会議でのCFOの説得により、やがてその指示に従うことになったそうです。なぜなら、ビデオ会議には、CFO以外の他の幹部の姿もあったのです。疑い深い私でも自分の会社の幹部複数名がビデオ通話で指示してくれば、さすがに信じます。結局、従業員はお金を送金しました。その総額はなんと、約38億円!
しかし、そんな大金が動けば、会社が気づかないわけがありません。約1週間後には、この会社は事件を警察に相談しました。
この詐欺団は、インターネット上に公開されている音声や映像を使い、会社のCFOをデジタルで忠実に再現し、見事に信用させたとのこと。捜査は現在も進行中ですが、香港警察はこの詐欺事件に関連して既に6人を逮捕しています。
中国福建省8500万円詐欺
2023年4月。IT企業を経営する男性の元に、友人からビデオ電話がかかってきた。友人は「入札のために8500万円の補償金が必要だから振り込んでほしい」と言いました。男性は指定された口座にお金を振り込み、友人に送金した旨を伝えましたが、「そんな電話はしていない」と言い、詐欺だと判明したのです。
イギリスやアメリカでも被害が
イギリスではエネルギー会社のCEOが、仕入れ先から連絡があったと勘違いして約24万3000ドル(約3400万円)をハンガリーの銀行口座に送金。ところが、この連絡は詐欺師がAI音声技術で仕入れ先の声を生成したものでした。AIは微妙なドイツ訛りまで再現していたのです。
ディープフェイク詐欺はこれからどんどん増加する
私は、今後ディープフェイク詐欺は増加すると思います。日本では目立った大きな事件がなく報道もされていないので、国民はより騙されやすい。ビデオ通話で、相手の顔も声も一致していれば、多くの人は疑わないでしょう。オレオレ詐欺のビデオ通話版はすでに私たちの知らないところで…以下省略